ひまわりの夢
Dream of Sunflower




Kazenone Flexible Solo Series
ひまわりの夢
作曲:西下 航平Nishishita, K.
平和を願う「ひまわりの夢」プロジェクトご協力のお願い
ひまわりの夢
フレキシブルソロ & ピアノ バージョン
※各管弦楽器で演奏可能な移調ソロ譜 (in C, in B, in A, in F, in Es)を収載。
※声楽の方は、こちらの楽譜の in Cソロ譜をご使用下さい。(歌詞はありません)
この楽曲の楽譜をご購入頂いた方の売り上げから、経費を除いた一部を[子どもたちを救うため]にユニセフ親善大使 黒柳徹子「トットちゃんユニセフ」を通じて国際連合児童基金(UNICEF)へ募金させて頂きます。
◆『ひまわりの夢』西下 航平
この世の中には様々な立場の人がいます。それぞれに主張があることでしょう。その正しさの「ものさし」も立場によって異なるでしょう。
用いる「ものさし」が違うものであれば、当然すれちがいは起こります。すれちがいを完全に無くすには「ものさし」を無理やりにでも合わせるか、あるいは違う「ものさし」上で同じ目盛り、それもひとつとは限らない目盛りを何とかして見つけ出さねばなりません。実際には、前者の場合には無理やり合わせられた部分に、後者の場合にはそもそも合っていない部分に、それぞれ諍いの種が発生します。すなわち二人称が存在する限り、つまり「あなた」と「わたし」・「あちら」と「こちら」が存在する限り、顕在化しなかったとしても、規模の大小はあれ人々の間に意見の相違は必ず発生するというわけです。人間はそれらのすれ違う部分をなんとか理性的に抑えて、或いは意図的に無視して、はたまた話し合うことで部分的に擦り合わせて、社会という共同生活を送っていると言えましょう。それらがガマンならなくなった時、争いとなるのです。
誰の尺度においても正しくあれとは言いません。到底言えやしません。私自身も、私の尺度でしか物事を測ることはできません。人の気持ちに立つなんてことは絶対出来ません。人にはそれぞれの「ものさし」があるからです。その目盛りは本人に拠ってのみ打つことが出来ます。
そういう意味では、このようなテーマでもって安易に作曲すべきではなかったのかもしれませんし、ましてや容易に何かを想起させるような引用やオマージュを行うことも本来避けるべきことだったでしょう。しかしこの曲は私の作品です。当然私の「ものさし」に依って作曲しています。この曲を知った方とどこかの目盛りが偶然合えば、もしくは必然合わなかったとしても、そうであった、そうだと分かっていただけたというその事実そのものが、作曲家にとってこの上ないことです。
私のような凡庸な作曲家には、作曲家にとって言語たる音楽を通してでさえ、人々に僅かでも――たとえそれがかりそめのものであったとしても――平穏が戻るのを祈ることしか、出来やしないのです。
最後に、この曲に出逢われた方へ。上の戯言は気にしても、気にしなくても構いません。メッセージ性抜きに、純粋に音の集合として音楽を受け取ってもらったとしても、私としてはこの上ない悦ばしいことなのです。
2022年3月
西下 航平